冒険家 GoaRick が見た景色 23日目


23日目にして念願が叶うことになった。
異国の地でテニスを通じて交流する。
言語の壁を、テニスで壊してみたかった。

 

今回ご協力いただけた団体の紹介

 

Cebu International Tennis Center

 

特にジュニア育成に力を入れている団体のようだ。

 

アポとってみた

 

今日テニスがしたいんだけど、できますか?とメールを送ったところ、
「今日はWarrenというコーチなら対応できるよ!」とのこと。

すぐにWarrenからメールが届いた。

 

「やあMikito。僕はCebu International Tennis CenterのヘッドコーチのWarrenだよ」

 

ヘッドコーチに相手してもらえるなんて、これは運が良い。
値段と時間を確認すると、90分300ペソらしい。
これは安い。すぐにOKを出して、17時の開始に備えた。

この時、僕は大きなミスをしていたことにまだ気づいていない。

 

17時

 

僕はFacebookページに記載されている住所に到着した。
中に入ると受付があって、「どうしましたか?」と聞かれた。

『テニスの約束をしているんだよ』
と伝えると、「ちょっと待ってね」との回答。
名前を伝えてしばらく待っていると、1人の男性が僕のところに来た。

 

「やあ、こっちへおいで」
僕は事務所の中へ通された。

「さてMikito。実は、ここにテニスコートは無いんだ。」
『What’s!?』

 

「ここからだと40分ぐらいかかるところに、テニスコートがある。」
『え、俺もしかして間違えた?』
「そうだ。」

 

そんなまさか。テニスコートの場所なんて知っているわけがない。
なぜWarrenとメールしている時に場所を聞かなかったのか。
僕は激しく後悔した。

いつもならISAMUやグレンダが一緒にいるので、微妙な間違いにも気づいてくれるのだが、
今日は僕1人での行動だ。1人だと、これほどまでにドジるのか・・・

 

「うーん、そうだな。僕が連れて行ってあげよう。なんなら相手もしようか?」
『いや、あなたWarrenじゃないですよね。』
「私の名前はKenだ。」
『僕、Warrenと約束してしまってるんですよね、この事も伝えなきゃいけない。』
「よーし、じゃあ私が連絡を取っておこう。安心してくれ。」

 

そんなこんなでKenの車に乗った

 

そこで衝撃の事実を知ることになる。
「私はCebu International Tennis CenterのPresidentだ」
『マジで』

「今から私の息子と娘を学校まで迎えに行き、テニスコートへ向かう」
『オッケー』

 

なんと、Kenは社長だった。
そして子供が校門から出てきた時にKenが僕の紹介をした。
「彼は新しい日本人の友達のMikitoだ。」

すると、7歳の男の子(ザック)が僕のところまで来て、僕の手の甲におデコをピタリ。
宗教的な何かなのか、僕にはわからなかった。しかし、色々感じるものがあった。
サックは無邪気な少年で、車の中でも騒ぎまくる。
「Mikitoー。オリャーオリャー。ザック。ウォーウォー。」

意味はわからなかったが、とりあえず格闘っぽいジェスチャーなのはわかった。
お姉ちゃんのカーラーがザックに「暴れないで」と言うのだが、ザックは言うことを聞かない。
運転しながら「こら、ザック。静かにしなさい。」というKenの表情を見て、良い家族だなぁと感じた。

 

テニスコートに到着

 

 

結局車で15分ぐらいで到着した。
なんだ、結構近いじゃないか。と思いながら荷物を下ろし、コートへ向かう。
ザックの後ろ姿が可愛い。

 

こっちのコートは、ほとんどがクレーコート。
たまにハードコートが存在するようだ。人工芝のコートは普及していなさそうだ。

 

コーチ陣の紹介

 

まず、ザックやカーラーを指導するコーチを紹介された。
名前を忘れてしまったのだが、昔フィリピンでNo.1だった選手だそうだ。
見た感じ、現在40歳ぐらいだろうか。

そして、次に紹介されたのがマイケル。
マイケルは去年出た試合全てを優勝したという、セブNo.1ジュニア選手らしい。
そして僕の練習の相手になってくれるのがマイケルだった。

 

練習開始

 

もう、必死に練習していたので写真を撮る余裕が無かった。
とりあえずウォーミングアップを一通りこなして試合をすることに。
意外と接戦になって、3-3の時点でタイムアップ。

カントリークラブに到着したのが17:30で、時計を見ると19:00。
ああ、90分経ったんだな。ということで疲れがドッと押し寄せた。

 

休憩していると、日本人らしき男性がいたのでマイケルに聞いてみると、
どうやら本当に日本人らしい。ちょっと話しかけてみた。

どうやら、4年前ぐらいからこっちで船舶管理の仕事をしているらしい。
たまに仲間の日本人と一緒にカントリークラブでテニスをしているとのこと。
こっちで若い日本人テニスプレーヤーは見かけないので驚いたらしい。

きっといつか一緒にテニスをしましょう、ということで名刺をいただいた。
翌日名刺をよく見て気づくのだが、彼もまたPresidentだった。

 

絶望の言葉

 

「Mikitoー。」
Kenに呼ばれた僕は、Kenのところに行った。

「じゃ、次いこっか。マイケルも一緒に。」
『What’s!?』

 

「いや、ここは子供たちの練習場なんだよ。今のは遊びね。」
『え、ここが最初言ってたテニスコートじゃないの?』
「全然違うお」
『・・・』

 

車に揺られること約45分

 

コンソレーションテニスクラブに到着。

 

そして、僕はこの場所に見覚えがあった。
以前地元の人に大人気の釣りスポットに遊びに行ったのだが、その近くの場所だったのだ。
釣りに行った時、結構綺麗なテニスコートがあるなぁ・・・なんて思っていたのだが、
まさにその場所に足を踏み入れることになった、というわけだ。

 

そして試合の続き

 

3-3で止まっていたマイケルとの試合を再開させた。
3-6で終わった。

「もう1セットいっとく?」とマイケルに言われたので、
『おっしゃ、いっとこ』って言った。

3-6でやられた・・・

 

終わってみれば、3-6,3-6のセットカウント0-2の完敗。
ただ、もうちょっと練習すれば普通に勝てるような気がした。
セブではサーブ&ボレーのプレーヤーがいないのだろう。

ストローク戦になると絶対に負けるが、こちらが前に出た時は対処しにくそうだった。
これは現地滞在中にリベンジしてみたいところ。叶うのだろうか・・・

 

マイケルは、顔もプレースタイルも僕の大好きな先輩に似ている。
テニスコーチとして働いていた時代の先輩で、一緒にダブルスの試合に出たこともある人だ。
マイケルとテニスをしていると、なんだか懐かしい気持ちになった。

 

まさかの食事設備

 

休憩していて気づいたのだが、みんなご飯を食べている。
どういうことだ?と思っていたのだが、中の人に注文すれば食事が出てくるシステムらしい。

作っている人は元気なオバチャンで、
「Mikito。いい名前じゃない!」みたいな感じで絡んでくる。

 

言語があまり通じ合わなくても、テニスが好き!ってだけで通じ合える。
食事中のオッチャン達も、ガンガン絡んでくる。
「Mikito。良いプレーをするね!君のボレーは美しい!」
「Mikito。良かったら一緒に食べていくか?」
「Mikito。飲み物はあそこで買えるぞ。たったの12ペソだ!」

 

ビックリしたのが、
「今どこに住んでいるんだ?」
『マクタンのCollinwoodってとこだよー』
「ほう、Collinwood!」
『ガイサノグランドモールの近くの。』
「わかるわかる!ちょっと待ってろよ。 おーい、リト!」

 

「紹介するよ、彼はリトだ。」
『あ、どうもよろしくリト。僕はMikitoだよ』

「リト、MikitoはCollinwoodに住んでるんだ。帰り送っていってやれよ」
リト「いいよ、メシ食い終わるまで待ってもらっていい?」
『え、いいの。余裕で待つよ』

 

帰りの手段を確保した

 

リトの好意で、家までバイクで送り届けてもらえることに。
リトが食べ終わるのを待っている時に、最初レッスンしてもらう予定だったWarrenにも会えた。

『Warrenごめん!俺場所知らんかってwww』
「ええよええよ問題あらへん!またテニスしよや」

 

そんなこんなで色んな人に優しくしてもらい、最終的にはリトに家まで送り届けてもらった。
バイクに乗っている30分間、それなりに会話が出来たのが大きな収穫だ。
あんなに英語が出来なかった僕が、タドタドしくもなんとか会話することが出来た。

いつもISAMUやグレンダに助けてもらってばかりの僕の、
本当の意味での冒険デビューは今日だったのかもしれない。

 

ちなみに

 

家に着いたのは23時ぐらい。
当初の予定より長くテニスをしたのに、料金は変わらず300ペソ。
優しさを感じた。

そして僕はというと、こんなに運動するつもりは微塵もなかった。
これは間違いなく痩せて帰国することになるだろう。